5 MOT(技術経営)とMIT、理系のMBA 1.
MOTの定義
MOTとはManagement of Technologyの略で、技術経営あるいは技術マネジメントと訳されており、技術に立脚する事業を行う企業・組織が、持続的発展のために、技術が持つ可能性を見極めて事業に結びつけ、経済的価値を創出していくための戦略を立案・決定・実行することです。技術者向け、理系向けのMBAと一般的に言われています。MOTの真髄は技術に立脚した戦略立案よりも技術開発に適応する組織開発や知識経営が主体となっています。MOT以外にもTechnology Management、Engineering Management、IT Managementなどが技術経営の意味で使われています。
日本でもようやく知られだし、各大学がコースを設置しだしたMOTですが、このページを割いてご紹介しているのはいろいろな思い入れがあるからです。
私自身シドニー大学のMOTコースを修了し(今はコースがなくなってしまいましたが・・・シドニー大学は現在ではITマネジメントのみに特化しています)、技術のマネジメントあるいは技術のマーケティング(どちらかというと私はこちらの方が強く、専攻は「Marketing of TechnologyあるいはMarketing on Technology」と紹介していました)を学び多くのことを得ました。
今はモノのマーケティングではなくサービスのマーケティングに携わっていますから直接関わりがないように思われますが、技術経営の考え方は常に私のベースにあり、新しいサービスを考えるときは非常に役に立っています。実際クラスで使った1000ページ以上の、枕にもなりそうな教科書(ハーバード大学の出版ではありますが)には、理論と実際のビジネス現場での成功と失敗事例がケースとして豊富に盛り込まれており、今でも辞書的に使うこともあります。(実際私の教授であるシュワルツ教授も「100ドルの教科書に1000万ドルのアイデアが詰まっている」と仰っていました。100万ドルだったかな?)
誌面がなくなりましたが、このMOTについては好評であると信じ、次号に続きます。